しろ紙魚おばけのA4ノート

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 白鬼(はき)は言わば、現代でいうと「正義マン」のような存在だ。
 白鬼のはじまりは、ある村で言い伝えられた「白い鬼の金棒」の寓話が元である。この話は「ある泥棒が村にある寺に盗みに入った後、寺があった山から下山している最中に雷に打たれ死んだ」という内容である。作中に出てきた空と稲妻が白い鬼と鬼の金棒のように見えたところから、このような名前が付けられた。この話には悪いことをすると後に天罰が下るという意味が込められており、白鬼=正義という概念はここから出てきたものだと考えられる。この話は親が子に聞かせることで、「悪いことをすると白い鬼がやってきて金棒で叩かれるぞ」という教育的な側面もあった。
 この寓話は、時代とともに変化していき、話のバリエーションも増えていった。それに伴い、白鬼の天罰の下し方も徐々に変化していった。最初は「雷をおとす」というものだけだったが、「白い鬼が山から下りてきて、誘拐したのちに金棒で殺される」、「廃屋につれられ、鍋に入れられ食べられる」、「薬で眠らされ拷問される」などといったものになっていった。また話のバリエーションでいうと、「生活が困窮していたところ白鬼から食べ物をくれた」といった天罰を下すだけでなく、弱者を救済するような話も途中から出てくるようになった。さらに、言い伝えられてしばらく経ったころから白鬼に姿が付け加えられたが、これも時代によって変化していった。白い鬼の姿のほか、顔が白い僧、武士、軍人、現代で出てきた話の中には新聞記者といったものも存在している。共通する特徴としては髪や肌が生きているとは思えないくらい白いといったものがある。姿になっているものの傾向としては、民衆にとって正義の基準となるものが多いようだ。
 昨今ではインターネットが普及し、個人の怪談話が広く共有される機会が増えた。その中にも白鬼の類型と思われるものが混在している。インターネット上で「コンパ帰り」と名付けられた怪談では、「終電が早かったため先にサークルのコンパから帰っていたところ、さっきまで自分がいたところが火災になっているのを見た。唯一コンパに参加していた女子の1人だけが生き残っていたため話を聞いてみると、あの後無理やりホテルに行く流れができていたところ火事が起こり、逃げるときに白髪の人が腕を引っ張ってくれて逃げることができた」という話になっている。この話の中でコンパのメンバーで白髪の人はいなかったという記述もあり、またお礼を言うために脱出後にその人を探したがそんな人はいなかったとも書かれている。話の中で生き残った女子はコンパメンバーに行かなければ個人情報をSNS上でばら撒くと脅されたと書かれており、おそらくこの話は、白髪の人間(よくわからない人間)が白鬼で、金棒にあたるものが炎(=炎上)であったと考えられる。このように、ネットが広まった現在でも白鬼という存在は残り続けている。
 ここからは私の疑問だが、マスクが必要となった時代の白鬼はどのような姿をしているのだろう。私の予想では、マスクの頭をした「マスクマン」で、悪人はマスクで窒息死させ、事情でマスクがない人には新品のマスクを渡すような存在だと考えている。
 今の段階ではこのような話は出てきてないが、いずれ出てきた時のどのような存在として私たちの前に現れるのかが私は楽しみだ。